アレルギー性鼻炎(2)治療の必要性はどこにあるか?
2022.11.11 鼻
こんにちは!ドクターまこです。
今日はアレルギー性鼻炎の2回目で、アレルギー性鼻炎の治療はなぜ取り組まなければならないのか「治療の必要性はどこにあるか?」をテーマにお話ししたいと思います。
その前に、まずアレルギー性鼻炎の代表的な症状ってご存知ですか?
それは「くしゃみ」「はなみず」「はなづまり」の3つが代表ですね。簡単過ぎましたね。
生体には、生きていくうえで欠かせない免疫というシステムが備わっています。
それは、自分(self)と、自分ではないもの(not self)を明確に区別する仕組みのことですが、この免疫が過剰に働き過ぎて、些細な異物に反応してしまい、生体にとってかえって、利益になるどころか、損をしてしまうような状態を「アレルギー」と言います。
つまり、些細な、大したことのない、ホコリや花粉に対して、過剰に反応し、
「くしゃみ」・・・くしゃみで、外に飛ばそうとしている、
「はなみず」・・・はなみずで、外に洗い流そうとしている、
「はなづまり」・・・詰まらせて、中に侵入できないようにしている
というような症状になるわけです。
しかし、ドクターまこは、ここで、重大発言をします!!
それは、「くしゃみ・はなみず・はなづまりには、あまり興味がない」ということなんです。
おいおい!耳鼻科医が、こんなこと言っていいんでしょうか??
今までえんクリに通院している人なら、この爆弾発言を、一度は聞いたことがあるかもしれませんが、真意が伝わっていないかもしれないので、この場で事の経緯をご説明しますね。
要するに、アレルギー性鼻炎の治療のゴールが「くしゃみ・はなみず・はなづまり」を治すことではないからなのです。
それらの症状を改善させて、その先に患者さんの達成させてあげたいゴールがあるんです。いよいよ本題ですね。
1)パフォーマンスに影響する
アレルギー性鼻炎の有病率は日本人の4割と言われ、最近では小さいお子さんでも発症する低年齢化が指摘されています。
そして、それぞれの年代において、鼻炎症状がその人のパフォーマンスに悪影響を及ぼす点がとても重大だと思うわけです。
たとえば、アレルギー性鼻炎の患者さんは、鼻閉によって、睡眠中に「微小覚醒(Micro Arousal)」という脳波上の変化を生じるという報告があります。
この微小覚醒が、睡眠の分断化を招き、日中の眠気をもたらすことにつながっていきます。
すると学生さんならば、「授業中の居眠り」や「意欲の低下」が、学業成績の低下を招くことになるし、会社員ならば、「短時間で仕事を終えることができず、残業する」など作業能率の低下が、その人の出世に影響することになりかねないのです。
アレルギー性鼻炎と睡眠障害という観点で見ただけでも、いかに鼻炎がただのくしゃみ・鼻水・鼻づまりに終わらないということがお分かりいただけるかと思います。
2)喘息の危険因子である
アレルギー性鼻炎の現場は「鼻」ですよね?じゃあ、喘息の現場はどこだか分かりますか?
これ、2つの意味で、案外知らない患者さんが多いんですよね。まず、現場は「気管支」です。そして、気管支がある場所が「肺」のほうです。
つまり、
アレルギー性鼻炎・・・上気道
喘息・・・・・・・・・・・・・・下気道
となり、同じ空気の通り道で起きているのですが、上のほうで、「アレルギー性鼻炎」、下のほうで、「気管支喘息」ということになります。
そして、アレルギー性鼻炎の患者さんの2割くらいが喘息を持っており、一方、気管支喘息の患者さんからみると、6割以上にアレルギー性鼻炎を持っていると報告されています。
また、アレルギー性鼻炎の国際的ガイドラインの基準ともされるARIA(アリアとか、アライアとか呼ばれています~Allergic Rhinitis and its Impact on Asthma:アレルギー性鼻炎と、アレルギー性鼻炎が喘息に及ぼす影響~)の中でも、「アレルギー性鼻炎は喘息の重要な危険因子である」と述べられているんですね~。
単なる「くしゃみ・はなみず・はなづまり」ではなく、呼吸困難をもたらす喘息につながる危険性があることを認識しなければならないのです。
3)そのほかもある
上記2つ以外にもアレルギー性鼻炎があると
「鼻血が出やすい」
「特に子供では睡眠時無呼吸になりやすい」
「風邪を引きやすい」
「食欲がない」
などなど、挙げればキリがないくらいあります。単なる鼻炎では終わらない点に是非注意してほしいと思います。
いかがでしたでしょうか?お分かり頂けたでしょうか?アレルギー性鼻炎、なめちゃいけませんよ~!!
という訳で、次回はアレルギー性鼻炎の3回目「内服薬の正しい知識」をテーマにお伝えしますよ。お楽しみに!