北千住駅から徒歩3分
千住宿場町通り沿いにある耳鼻咽喉科

トピックス

風邪に対する考え方(2)抗生物質をどんなときに飲むの?

2022.11.11

皆さんこんにちは。ドクターまこです。

今日は前回に続き、風邪の2回目です。

前回のブログでは

「風邪はウィルスによって起こる」

「ウィルスと細菌は違うものである」

「抗生物質は細菌を殺すことはできるがウィルスを殺すことはできない」

「風邪には抗生物質は効かない」

ここまでが復習ですね。

今回はじゃあ一体、「抗生物質を飲むタイミングはどんなときか?」をご説明します。

1)風邪を引いて、一旦少し良くなったと思ってたら、再び症状が悪化したとき

そもそも風邪がウィルスによって起こるのであれば、抗生物質は不要である、ということが前回のポイントでしたが、風邪でも、抗生物質を飲んだほうが良いタイミング、時期があるというのが今回の1つ目のポイントになります。

風邪の経過中に

「一旦熱が下がって、再び熱が出てきた」とか

「はな水が急に多量に出るようになった」とか

「のどの痛みが急に半端じゃなくなった」とか

「頬やおでこなどの顔や頭が急に痛くなった」とか

「耳の中が急に痛くなった」

などなどの症状が出たときは抗生物質の出番かもしれないと考慮していきます。

これは、かぜウィルスに感染を受けた粘膜には細菌感染を2次的に起こしやすいという事実によるものです。

私も昔、学生時代に、教科書で習ったときには、そんなものなのかなあと思いましたが、現在でもこの考え方は否定されていません。

実際に、患者さんの話を注意深く、よ~く聴いていると、このような「一旦よくなったんですがまた急に~~になったのでクリニックに伺いました」というエピソードをしょっちゅう耳にするようになり、「なるほど!そこからが細菌感染かもしれない」と実感するようになりました。

もちろん、細菌感染したら絶対抗生物質が必要というわけではありません。ここで強調したいことは、「風邪の初めから強力な抗生物質を飲むのではない!単なる風邪に最初から予防で抗生物質を飲むのではない!だって後から必要になるかもしれないのだから!」ということなんです。

つまり、抗生物質が本当に必要なタイミングを知ってもらいたいのです。ただし、小児においては細菌感染の合併率が高いため、この考え方だけでは通用しないこともありますから、丁寧な問診と診察がとても重要になります。

2)症状がいろいろな場所ではなく、1つの場所のとき

ところで、自分で風邪だという判断はそもそも本当に正しいのでしょうか??実際に外来にお越しいただく患者さんの話を伺っているとその判断が医学的には間違っていると感じるケースがよくあります。

たとえば、

a 「右ののどだけが痛い」

b  「のどは痛いが、咳も鼻水も出ない」

c  「頭が痛く、黄色い鼻水が出るが、のどの痛みはそれほどでもない」

d  「熱があり、咳は止まらず出るが、鼻水は出ない」

これらは医療者から聴くとすべて「単なる風邪ではない」と感じるエピソードなんです。

原則として「風邪はのどが痛い+はな水(汁)+咳、かつ、これらがほぼ同じ程度に起こる」のが、まさに”ストライクゾーン”の風邪です。ここが大切です。

もちろん、最初の日はすべての症状が出揃わないので分からないかもしれません。私もそのようなかなり早い段階で来院した患者さんには「本当に風邪か?」とかなり慎重に診療を行っています。

絶対ではないですが、このように症状がいろいろな場所(のど・はな・気管)で起きているということがとにかく「ウィルスのしわざ」であると考えてよいのです。

つまり、この場合には抗生物質は不要であろうと考えます。抗生物質が必要だろうと感じるのは、要するにその逆になります。

上記のaからdは、抗生物質が必要かもしれないと考える状況です。ポイントの2つ目は、このように単一の症状が出たときは、風邪ではないという点です。

ちょっと長くなりましたが、次回は風邪の3回目で「耳鼻科にかかるメリットは?」をテーマにブログしたいと思います。