北千住駅から徒歩3分
千住宿場町通り沿いにある耳鼻咽喉科

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風邪に対する考え方(3)耳鼻咽喉科の役割とは?

2022.11.11

皆さんこんにちは。ドクターまこです。

今日は風邪のシリーズの3回目で「耳鼻咽喉科の果たす役割とは?優位性とは?」がテーマです。

分泌物を外に出す手助け

このブログを読んでいる皆さんは必ず風邪を引いたことがありますよね?

わたくしドクターまこも、ついこの間、風邪を引きました!!おめでとう!ではありませんが、滅多に引かないため、たまに引くと患者さんの気持ちに立つことができる、なんと素晴らしい機会ではないか!!と解釈しておりました。

まあ、それはいいとして、風邪を引くと誰でも行う行為は何でしょうか?

そう、「鼻をかむ」とか、「痰を出す」とかという行為ですね。

つまり、貯まった分泌物を外に出してあげることで、少しでも楽になろうとしていますよね?耳鼻咽喉科の役割はまさにこの「分泌物を外に出す手助けをすること」なんですよ。

医学ではこれを「ドレナージ」と呼んでいます。

体内に貯まった膿などの分泌物を排出させ、できる限り早めに治癒へと導くことが、ドレナージの目的ということになります。

風邪などで耳鼻科に受診すると、鼻の中にいくつかの薬剤をスプレー噴霧し、鼻の中に貯まっている余計な鼻汁を吸引したのち、細かなミスト状にした薬剤を鼻や口から吸いこむ吸入(ネブライザー)を行うことで症状の軽減だけでなく、早期治癒へ導く処置を実施しています。

ここ最近は、鼻の中を、生理食塩水で洗浄する方法も一般化しており、来院できない場合のホームケアとして有効と言えるでしょう。特に小児においては自分で鼻をかむことができないため、耳鼻科で鼻水を吸引・吸入することが風邪を早く治す方法と考えます。

しかし、近頃は共働きの家庭も多く、こまめに来院することが困難なケースが多く見られ、必然的に内服薬だけに頼った治療になりがちです。ドレナージは原始的であるかのように思えますが、内服薬と共に行うと風邪の早期治癒に繋がることは間違いないでしょう(エビデンスレベルでは耳鼻科処置の位置づけは低く、今後の科学的な裏付けが待たれるところです)。

なお、えんクリではなかなか通院できなかったり、頻繁に風邪で通院する親御さんには、積極的に、家庭用の鼻汁吸引器の具体的な名称まで提示するなどの情報提供を行っています(なお院内では吸引器の販売はしていませんからインターネットなどで購入するよう勧めています)。

風邪と似た病気見逃さない

そして、2つ目の耳鼻科の役割は、風邪と似た病気を決して見逃さないということです。

風邪は言わば、しばらくの間、我慢すれば自然治癒する病気とも言えますが、風邪だという誤った判断が致命的となるケースもあるのです。このことはよく知っておいてほしい点です。

経験を積んだ耳鼻科専門医は、このような風邪と誤解されて来院し、実は違う病気であったために、死に至る一歩手前の緊急事態となる例を数多く診てきていると思います。わたくしも、勤務医時代に外来を急遽ストップし、緊急手術に至った症例を数多く経験してきました。

この風邪と紛らわしい病気(耳鼻科専門医なら紛らわしいとは思いませんが)とは、「扁桃周囲膿瘍」「深頸部膿瘍」「急性喉頭蓋炎」などが具体的病名として挙げられます。これらは薬を飲むとか、点滴するだけでは良くならず、切開など外科的治療が必要となる可能性が高い病気です。

耳鼻科では必要に応じいつでもファイバースコープ検査を迅速に行い、鼻からのどまで全てを隈なく見ることができ、風邪と風邪でないものを自信をもって確実に診断・治療することができるのです。

以上、風邪における耳鼻科の役割・優位性をいくつか取り上げてみました~!

次回は風邪の4回目「ドクターまこが風邪を引いたときの対処法」です。1日でも早く治したいと思う方、それはわたくしもおんなじです。さあ、どうしたらいいんでしょうかね?お楽しみに~♪