2026.08.21
睡眠時無呼吸症候群の治療でCPAPを使用されている方は、旅行や出張の準備をする際に「CPAPも持って行ったほうがよいのだろうか」と迷われることがあるのではないでしょうか。
CPAPは毎晩使用する機器のため、荷物が増えることや持ち運びの手間を負担に感じる方も少なくありません。
しかし、旅行先でCPAPを継続することは、睡眠の質を保ち、旅行を元気に楽しむために役立ちます。特に長期旅行では、できるだけCPAPを持参することをおすすめします。
長期の旅行にはCPAPを持参するのが基本です
CPAPは、就寝中に空気を送り、気道が狭くなったり塞がったりするのを防ぐ治療です。睡眠中の無呼吸や低呼吸を減らすことで、いびき、夜間の目覚め、起床時の頭痛、日中の眠気などの改善が期待できます。
普段CPAPを使用している方が、旅行中だけ治療を中断すると、睡眠時無呼吸症候群の症状が再び出やすくなる場合があります。夜に十分眠ったつもりでも熟睡できず、翌日に強い眠気や疲労感が残ることがあります。
数日以上にわたる旅行や出張では、CPAPを使わない日が増えるほど体調への影響も心配されます。観光、仕事、家族との時間を充実させるためにも、長期の滞在ではCPAPを忘れずに持参しましょう。
2~3日の短い旅行なら、持参しない選択もあります
「短期間でも機器を持ち歩くのは大変」「荷物を少なくしたい」と感じる方もいらっしゃるでしょう。2~3日程度の短い旅行であれば、事情によってはCPAPを持参しないという判断も可能です。
ただし、CPAPを使用しないことでどの程度影響が出るかには個人差があります。普段から眠気が強い方、無呼吸の程度が重い方、CPAPを使わないと翌日の体調が大きく崩れる方は、短い旅行であっても持参したほうが安心です。
また、高血圧や心臓病などの持病がある方、旅行中に車を運転する予定がある方も注意が必要です。睡眠不足や日中の眠気は、体調不良だけでなく、運転中の事故リスクにもつながります。
飲酒や寝不足は無呼吸を悪化させることがあります
旅行中は、普段より食事の時間が遅くなったり、お酒を飲む機会が増えたりしやすいものです。アルコールには筋肉をゆるめる作用があり、睡眠中に気道が狭くなりやすくなるため、いびきや無呼吸が悪化することがあります。
さらに、夜更かしや長時間の移動による疲れも、睡眠の質を低下させる要因です。旅行中に飲酒する予定がある場合や、生活リズムが乱れそうな場合には、可能な限りCPAPを使用しましょう。
CPAPを旅行に持って行く際の準備
CPAPを持参する際は、専用ケースやバッグに入れ、本体・マスク・チューブ・電源コードがそろっているか確認しましょう。宿泊先によってはベッド周辺にコンセントが少ないこともあるため、必要に応じて延長コードを準備すると便利です。
飛行機を利用する場合は、CPAPが医療機器として機内持ち込みできることがあります。ただし、航空会社によって扱いが異なるため、事前に確認しておくと安心です。海外旅行では、電圧やコンセント形状が異なる場合もあるため、変換プラグや対応する電源についても確認しましょう。
旅行先でもCPAP治療を続けることは、睡眠時無呼吸症候群の治療を守るだけでなく、日中をいきいきと過ごすことにもつながります。2~3日の短い旅行では状況に応じて判断できますが、快適で安全な旅行のため、できるだけCPAPを持参することをおすすめします。
【監修】
えんどう耳鼻咽喉科クリニック 院長
遠藤 誠
東京慈恵会医科大学医学部卒業後、同大学病院および関連病院にて13年以上にわたり耳鼻咽喉科疾患の診療に従事。国保旭中央病院では耳鼻咽喉科部長を務め、慈恵医大本院では睡眠外来を担当。2012年に北千住にてえんどう耳鼻咽喉科クリニックを開院。現在も慈恵医大の睡眠外来診療に携わる。
■ 専門医・資格
・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定 耳鼻咽喉科専門医
・日本睡眠学会認定 総合専門医
・補聴器適合判定医(補聴器相談医)
■ 所属学会
・日本耳鼻咽喉科学会
・日本睡眠学会
・日本小児耳鼻咽喉科学会
・日本口腔咽頭学会