睡眠時無呼吸症候群の症状と特徴

Symptoms代表的な症状

睡眠時無呼吸症候群は、寝ているときの症状が診断の重要なポイントになります。しかし、寝ているときの症状を本人が把握するのは困難です。次のような症状がないか、ベッドパートナーや家族が確認してみてください。

寝ているとき

  • いびきをかく
  • いびきが止まり、静かになったと思ったらすぐに大きな呼吸とともに再びいびきをかきはじめる
  • 呼吸が止まる
  • 呼吸が乱れる、息苦しそう
  • むせる
  • 何度も目が覚める
  • 寝汗をかく

寝ているときの症状とあわせて、起きたとき、起きているときに次のような自覚症状があるかどうかを本人と一緒に確認しましょう。

起きたとき

  • 口が渇いている
  • 頭が痛い、ズキズキする
  • 熟睡感がない
  • すっきり起きられない
  • 身体が重く感じる

起きているとき

  • 強い眠気がある
  • だるさ、倦怠感がある
  • 集中力が続かない
  • いつも疲れている

Snoring and lack of sleep本人は自覚しにくい「いびき」と「睡眠不足」

睡眠時無呼吸症候群は必ずいびきを伴います。
ベッドパートナーが隣では寝られないほどの大きないびきをかく方も少なくありませんが、本人は「苦しい」とか「呼吸が止まっている」といった自覚症状がない場合がほとんどです。

また、熟睡できないことによる日中の強い眠気も睡眠時無呼吸症候群の代表的な症状ですが、本人はいびきの自覚症状がありませんから「睡眠時間をとっているのに、なぜか眠い」「疲れているのかな」というくらいにしか思わないのです。

このように、睡眠時無呼吸症候群は自覚しにくい病気なので、誰かが指摘しない限り病気は徐々に進行してしまいます。だから、ベッドパートナーや家族の気付きがとても大切なのです。

Key risk factors肥満だけとは限らない?睡眠時無呼吸症候群になりやすい人の特徴

睡眠時無呼吸症候群は、空気の通り道である気道が狭くなることで起こります。気道を狭くさせる原因はいくつかあり、次のような人が発症しやすい傾向にあります。

睡眠時無呼吸症候群になりやすい人

  1. 肥満
    首のまわりに脂肪がつくため、気道が狭くなってしまいます。肥満体型のなかでも特に首が太く短い体型の人は気道が狭い傾向にあるため注意が必要です。
  2. 扁桃腺やアデノイド肥大
    扁桃腺(正しくは口蓋扁桃といいます)やアデノイドが大きくなると気道を圧迫し、気道を狭くしてしまいます。
  3. 顎が小さい。あるいは引っこんでいる
    顎が小さい人や後ろに引っ込んでいる人は気道がもともと狭く、少し体重が増えただけで、睡眠時無呼吸症候群に繋がる可能性があります。
  4. 鼻の通りが悪い
    慢性的に鼻がつまると口呼吸になります。慢性的に鼻がつまる代表的な病気としては、アレルギー性鼻炎、鼻中隔わん曲症があります。ずっと口をあけて寝ていると舌の位置が後ろに移動していき、気道が狭くなってしまいます。
  5. 加齢
    加齢にともなう筋肉のゆるみにより、横になった時に舌の付け根が気道の方へ落ち込みやすくなり、気道が狭くなります。

1~5のうち一つの項目だけで睡眠時無呼吸症候群が起こる人もいれば複数の要素を少しずつ持ち併せて発症する人もいます。肥満が睡眠時無呼吸症候群になりやすいというのは、よく知られていることだと思いますが、肥満がなくても、ただ顎が小さいというだけでも発症する可能性があるという点がポイントです。

Dangerous disease 寿命を縮める「危険な病気」と理解しよう

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が一時的に止まってしまう病気です。
睡眠中に10秒以上の呼吸停止(無呼吸)、もしくは、呼吸低下(低呼吸)が1時間あたりに5回以上あり、日中の眠気や睡眠中に目が覚めるなどの症状を伴う場合を睡眠時無呼吸症候群と言います。

さまざまな病気の元となる「睡眠時無呼吸症候群」

睡眠中に無呼吸や低呼吸になると、酸素欠乏の状態に陥ります。ひどい場合には、睡眠中の酸素濃度が高山の薄い酸素で苦しくなるような、まるでエベレストの頂上で過ごすのとほぼ同じくらいに下がることもあります。これは、一晩中、マラソンで全力疾走しているようなもので、心拍数や血圧が上がり、心臓や血管に大きな負担をかけることになってしまいます。
長期にわたり、心臓や血管への負担がかかると、血管が硬くなり、動脈硬化を引き起こしたり、心臓の筋肉の肥大化や心臓自体の拡張が起こり、心臓の機能が悪くなったりもします。一旦、硬くなった血管も大きくなった心臓も、その状態から悪化することはあっても良くなることは非常に難しいとされています。その結果、高血圧、不整脈、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血といった合併症を引き起こすリスクが高まってしまうのです。

15年後の生存率は60%以下!

睡眠時無呼吸症候群は、いつ発症したのかが、不明確であることが多いのですが、通常、発症当初はいびきくらいで特別な症状が出ているわけではありません。しかし、発症してからの年数(罹病期間といいます)が増えるにつれて合併症のリスクが高まるとされています。睡眠時無呼吸症候群の人は、健常な人に比べて心臓血管系の病気が2~3倍起こりやすいと言われており、海外の大規模な調査によると「重症な睡眠時無呼吸症候群を15年以上放置すると生存率が60%以下になる」という報告(SLEEP, Vol. 31, No. 8, 1071-1078 2008 SDB and Mortality: The Wisconsin Sleep Cohort-Young et al)もあります。
このように、睡眠時無呼吸症候群は命にかかわる深刻な病気なのです。

15年後の生存率は60%以下

Mistakes and accidents 「仕事のミス」や「交通事故」を招くことも

夜間に無呼吸が起こると、脳は酸素欠乏という生命の危機を感じて、無意識に何度も目が覚めるという反応を引き起こします。
これを覚醒反応といい、睡眠の質を悪化させる原因になっています。よって、質の高い睡眠がとれないため、昼間に眠気が出てしまい日常生活にも支障が出ます。
特に、仕事や勉強においては集中力や注意力の低下によるミスの増加や学業成績の伸び悩み、時には交通事故を招くこともあります。
また、睡眠不足によるイライラからうつ病になる方も多く、うつ病の発症リスクは健常者の約2倍とも言われています。このように睡眠時無呼吸症候群は社会的な損失にも影響を与える病気なのです。

睡眠時無呼吸症候群がもたらす社会的な問題点

  • 仕事の作業効率が落ちる
  • 会議中に寝てしまう
  • 学校の成績が悪くなる
  • 居眠り運転をしてしまう
  • やる気が起こらない

など。

居眠り運転による交通事故率は健常者の7倍

ある調査によると、睡眠時無呼吸症候群の人が居眠り運転で交通事故を起こす確率は健常者の約7倍であると報告されています。
2003年2月には、山陽新幹線の運転手が居眠り運転を起こし、検査によりこの運転手が睡眠時無呼吸症候群であることが判明しました。結果的には大事故には至りませんでしたが、一歩間違えたら大惨事になっていたかもしれません。
このように、睡眠時無呼吸症候群は本人だけでなく他人の命まで危険にさらしてしまうことがあるのです。