2026.07.21
令和8年度診療報酬改定に伴い、睡眠時無呼吸症候群の検査およびCPAP療法の適応基準が一部見直されました。
これにより、これまでよりも早い段階でCPAP治療を検討できる方が増える可能性があります。
この記事では、睡眠時無呼吸症候群の検査の種類や、今回の改定で何が変わったのか、患者さんにとってどのようなメリットがあるのかを分かりやすく解説します。
睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が何度も止まったり、浅くなったりする病気です。
代表的な症状には、次のようなものがあります。
- 大きないびき
- 睡眠中に呼吸が止まっていると指摘される
- 日中の強い眠気
- 起床時の頭痛
- 寝ても疲れが取れない
- 集中力の低下
睡眠時無呼吸症候群を放置すると、高血圧や不整脈、心疾患、脳卒中、糖尿病などの生活習慣病リスクにも関係するといわれています。
そのため、気になる症状がある場合は、早めに検査を受けることが大切です。
睡眠時無呼吸症候群の検査の種類
睡眠時無呼吸症候群の検査には、主に「簡易検査」と「Full PSG検査」の2種類があります。
1. 簡易検査
簡易検査は、ご自宅で行うことが多い検査です。
専用の小型機器を装着し、睡眠中の呼吸状態や酸素の低下などを確認します。
比較的負担が少なく、睡眠時無呼吸症候群が疑われる方のスクリーニング検査として広く用いられています。
「まず睡眠時無呼吸症候群の可能性があるかを確認したい」という場合に行いやすい検査です。
2. Full PSG検査(=終夜睡眠ポリグラフィー検査)
Full PSG検査は、睡眠中の状態をより詳しく調べる精密検査です。
呼吸状態だけでなく、脳波、眼球運動、筋電図、心電図、体の動き、酸素濃度などを総合的に確認します。
そのため、睡眠の深さや睡眠の質、無呼吸・低呼吸の回数をより正確に評価できます。
Full PSG検査は、入院して行う場合と、精密機器をお貸し出ししてご自宅で行う場合があります。当院では、どちらでも対応可能です。
令和8年度の改定で何が変わったのか
今回の診療報酬改定では、CPAP療法を保険診療で開始するための基準が一部緩和されました。
CPAP療法とは、睡眠中に専用のマスクを装着し、空気を送り込むことで気道がふさがるのを防ぐ治療です。睡眠時無呼吸症候群に対する代表的な治療法のひとつです。
CPAP開始の目安となる数値が引き下げられました
睡眠時無呼吸症候群の重症度を判断する指標として、無呼吸や低呼吸が1時間あたりに何回起こるかを示す数値があります。
簡易検査では主に「REI」、精密検査であるFull PSG検査では「AHI」という指標が用いられます。
今回の改定では、CPAP療法を開始する目安となる基準が、以下のように引き下げられました。
| 検査方法 | 改定前 | 改定後(2026年6月~) |
| 簡易検査 | REI 40以上 | REI 30以上 |
| 精密検査(PSG) | AHI 20以上 | AHI 15以上 |
【今回の改定のポイント】
これまで、簡易検査のみでCPAP療法を開始する目安は「REI 40以上」とされていました。しかし、改定後は「REI 30以上」でCPAP療法の対象となる可能性があります。
また、Full PSG検査では、これまで「AHI 20以上」が目安でしたが、改定後は「AHI 15以上」に引き下げられました。
つまり、従来よりも中等症の段階でCPAP療法を検討しやすくなったといえます。
患者さんにとってのメリット
今回の基準見直しにより、患者さんにとって次のようなメリットが期待されます。
1. CPAP治療を始めやすくなる可能性があります
これまでの基準では、症状があっても数値上の条件を満たさず、CPAP療法の開始までに追加検査が必要になる場合がありました。今回の改定により、基準が引き下げられたことで、これまでより早い段階でCPAP療法を検討できる可能性があります。
2. 検査や通院にかかる負担軽減につながる可能性があります
睡眠時無呼吸症候群では、まず簡易検査を行い、必要に応じてFull PSG検査を行う流れが一般的です。今回の改定により、簡易検査の結果によっては、そのままCPAP療法を検討できるケースが増える可能性があります。
そのため、追加検査の必要性が減り、時間的・経済的な負担軽減につながることが期待されます。
3. 早期治療につながりやすくなります
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠の質を低下させるだけでなく、日中の眠気や集中力低下、生活習慣病リスクにも関係します。早めに治療を開始することで、いびきや日中の眠気、起床時のだるさなどの改善が期待できます。
このような症状がある方はご相談ください
次のような症状やお悩みがある方は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
- いびきが大きい/家族に指摘される
- 日中、強い眠気がある、居眠りをしてしまう
- 起床時に頭痛や強いだるさがある
- 血圧が高めといわれたことがある
- 肥満傾向がある、体重が増えてきた
- 寝ても疲れが取れない
「ただのいびき」「疲れているだけ」と思っていても、背景に睡眠時無呼吸症候群が隠れていることがあります。
ご自身やご家族の睡眠について不安がある方は、足立区北千住のえんどう耳鼻咽喉科クリニックまでお気軽にご相談ください。