ご存知ですか?「気象病」
2022.11.11 耳
皆さん、こんにちは。ここ最近、雨の日が多く、いわゆる「梅雨」の時期になりましたね。
えんクリ外来には最近増えている症状があります。それは「耳が痛い」という症状です。
耳が痛いというと、普通考えるのは耳をいじりすぎて起こる「外耳炎」か、風邪に続発する「中耳炎」を想像するかもしれません。
これらは外来で、耳の中を覗くだけでほんの数秒で即座に診断がつきますが、今回取り上げる耳の痛みは、耳の中を見ても正常なんです。
つまり、耳を見ても分からないというわけです。
耳が痛いのに、耳を覗いても異常がない
「耳が痛いのに耳を覗いても異常がない」というケースは多々あり、以下のような疾患が考えられます。
1)耳に原因がある場合
(1)メニエール病 (2)気象病
2)耳以外に原因がある場合
(3)顎関節症 (4)扁桃炎 (5)う歯 (6)口内炎 (7)舌がん
(8)咽頭がん (9)喉頭がん (10)後頭神経痛 (11)帯状疱疹
(12)顔面神経麻痺 (13)虚血性心疾患
今回トピックスで取り上げるのは、このなかで、教科書にも無い「気象病」についてです。
気象病って聞いたことがありますか?
気象病は、気温や気圧の低下があるときに起こりやすいのが特徴です。
急に気温や気圧が下がったり、天気図では低気圧が覆っているような時期に起こりやすいのです。
気象病は天気との関係が特徴なので、天気予報を見ると、私の場合、「今日の外来はきっと、めまいとか耳が痛い患者さんがたくさん来るだろうなぁ」と予測ができてしまう訳です。
症状には今回のテーマでもある「耳が痛い」以外にも「めまい」「耳鳴り」「耳が詰まる」といった症状が挙げられます。
そして、ただ単に天気が悪くなると、すべての人が気象病になるわけではなく、何らかのストレスを抱えている人に起こりやすいのもポイントです。
日本初の「気象病外来」を開設した佐藤純先生によれば、実験の結果、気圧変化を最初に感知するのは「内耳」であり、ストレスによる交感神経の緊張状態が痛みの一因だろうと述べておられます。
気象病を予防するには?
さて、気象病にならないように気を付けるにはどうしたら良いでしょうか?
それは「天候に左右されないこころとからだを作ること」です。
圧変化を内耳が感知するのは避けられませんが、ストレスを受けても頑丈なこころとからだがあれば、きっと天候なんかに大きく左右されないはずです。
ストレスには
1)身体的なもの(寝不足、過労、栄養不足など)
2)精神的なもの(人間関係など)
があります。
えんクリ流のストレス対策
ここからが「えんクリ流のストレス対策」です。
身体的なストレスとして、寝不足は多くの日本人の問題点です。日本人は世界で最も睡眠時間が短く、また、日本人のおよそ5人に1人が睡眠に問題を抱えているとされています。寝不足は、寝ることによってのみ補えるので、まずはしっかり睡眠時間を確保するようにしましょう。個人差はありますが、「ヒト」は6~8時間は睡眠を摂る動物とされています。およそ7時間を目標にしてくださいね。
また疎かになりがちなのは、栄養です。意識しないとなかなか摂取が難しいのがタンパク質の摂取です。
ストレスに打ち克つには「タンパク質」をはじめ、「ビタミンB群」「マグネシウム」「亜鉛」などが大切です。これらはうちの外来でもよくお話ししているところです。
そして、精神的なものについては、様々な対処法があると思いますが、たとえばこんなのはどうでしょうか~?
自分が今、悩みごとがあるとして、それは、とても大きく、壁のように立ちはだかっているように感じるかもしれません。しかし、地球の外から見た自分を想像してみてください。すると、自分はいったいどれだけ小さな悩みを抱えているかに気付くはずです。自分も小さいし、悩みも小さい~!
いかがでしたでしょうか?梅雨時ならではの話題でした~。